その昔、お伊勢参りをする旅人は、
筒状に丸めて背負ったゴザの先に、
一文無しの杓「ひしゃく」さえ差しておけば、
白米のおにぎりやお風呂、水、わらじなど
提供してくれる伊勢の人々の「施行」に
支えられていました。そのことから「お伊勢参り」を「おかげ参り」と
呼ぶようになったと言われています。
パワースポット巡りに始まり、神社仏閣を巡る人が増え、また素敵な御朱印帳もたくさん見かけるここ数年ですが、中でも「お伊勢参り」は特に参拝者が多いと思います。私も大好きな場所です。
日本人は昔から旅が好きだったようで、1700年から1800年代には650万人が伊勢に参拝していたそう。江戸時代、7人に1人はお伊勢さんに行っていたとか。
東京から伊勢までは10日間かかり、50万円ほど必要だったそうです。道中関所もあるので、今の海外旅行のようなものですね。それでもお伊勢さんに行くことは、江戸庶民にとっての一生に一度の楽しみでした。
そして、大変な道中の末にたどり着いた伊勢では、人々が歓迎してくれて食事やお風呂、わらじなんかを提供してくれるなんて素敵な文化だなと思います。今でも「おかげ横丁」は賑わっていて、伊勢の人が歓迎してくれます。
「よくいらっしゃいました」
「おかげさまで来ることができました。ありがとう」
「おかげ参り」と言われる所以のお話でした。
※今日のメイン画像は、歌川広重の「伊勢参宮・宮川の渡し」です。ひしゃくを持った人がちらほらいますよ!
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