前回はKhadiについてご紹介しましたが、こんな素晴らしい文化を伝えてくれたのが、プロデューサー兼キュレーターのマルタン・シンさんです。
20年前、カディは存続の危機に瀕していたそうで、シンさんは自国の伝統を現代に復興させるために様々な活動を行いました。そして、今やカディは高級ファッションブランドにも採用されるほどになったそうです。素晴らしい文化や素材があっても、その素晴らしさに気づいて伝える人もまた重要なんだな、と気づかせてもらいました。
マルタン・シンさん
世界各地でカディの展示が行われているようで、21_21 DESIGN SIGHTでの展示方法も素敵だったのですが、中でも「スワッチ+カタログ」で、2002年1月30日(ガンジー54回目の命日)に開催された「KHADI: The Fabric of Freedom」展で、100部限定でつくられたカタログが印象的でした。108枚のカディの見本帖のようなもので、デザインもとても素敵です。シンさんのプロデュースのセンスのよさもカディの復興に大きな役割を果たしているんだな、とも思いました。伝える手法もとても大事ですね、勉強になります。
スワッチ+カタログ
そして、シンさんがイギリス留学を中止し、インドで学ぶことを決めたきっかけにもなったという、インドのメタファーファが以下だったんだとか。
世界のクリエーション(創造)について、「経糸は太陽、緯糸は月であった。そして太陽と月が最高の布を織りなした。」
インドで古代より紡がれているカディや織物が生活に欠かせない身近なものだからこそ、このメタファーが生まれたということ、そして、織物を世界のクリエーションにも重ね合わせている表現は、神秘の国インドらしくも思えます。
インドの方に深く刻まれているこのメタファーに突き動かされ、世界に紹介してくれたシンさんの思いは十分伝わっていると思います。
次回はこのシリーズの最後で、カディの展示で一番心を奪われたものについてです。
※説明は21_21 DESIGN SIGHTでの展示より引用したものがあります
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