毎年どこかで展示会が開催されている大人気画家、竹久夢二。今、東京ステーションギャラリーで開催されている『千代田区×東京ステーションギャラリー「夢二繚乱」』に行ってきましたよ。
東京駅で逢いましょう展覧会は4章構成になっています。第1章では、夢二の若き日々を検証します。第2章では、出版や印刷・版画などを中心にした夢二の仕事を、第3章では、その中でも音楽や楽譜にまつわる仕事を取り上げ、第4章では、夢二の自伝小説『出帆』原画と、没後の龍星閣による出版活動などを紹介します。
(東京ステーションギャラリーのウェブサイトより)
今回の展示のタイトル「夢二繚乱」の通り、館内は夢二が描いた大正ロマンの絵が咲き乱れていました。線が細く、しなやかで色鮮やかな世界はまるで夢のよう。西洋の文化が入り始め、和と洋が混じり合い、恋愛が謳歌され、大衆文化が花開いた大正時代。たった15年という短さに儚いイメージも重なって、何ともうっとりしてしまう、まどろみのような時代ですよね。
時代の雰囲気に見事にマッチしていた夢二ですが、今日は画家としてより詩人としての夢二に注目してみたいと思います。
実は、夢二は最初は詩人志望でした。
文字で詩をかくより形や色でかいた方が、私には近道のような気がしだして、いつの間にか絵をかくようになってしまった。(「私が歩いてきた道」『中学生』第八巻第一号、一九二三年)
と記しています。
詩人夢二の世界を堪能できるのが『竹久夢二詩画集』です。詩とエッセイが収録されていて、詩と一緒に画も収められています。詩の方は画の世界と同じように、やさしくて繊細で女性的な印象の作品が多く、言葉のひとつひとつが妖艶な色をもって舞っているようです。
また、どの詩もとてもテンポがよくて読みやすく、その情景が目に浮かびます。恋愛、女性、人生、孤独、旅、郷愁、自然、四季が主なテーマで、身近な生活を情緒豊かに表現しています。その優しくて分かりやすい詩は、子供向けの童謡の詩としても多くが創作されました。
さて、そんな夢二の詩をひとつ。
花のゆくえほろり ほろり と、花がちる。
花にゆくえを聞いたらば。
空へ舞ふのは、蝶(てふ)になる。
海へ落ちれば桜貝(さくらがい)。
花はのどかに笑ふてる。
ほろり ほろり と、花がちる。(『絵物語 小供の国』)
いかがでしょうか? 優しい描写とその感受性に瞬く間に夢二ワールドに引き込まれてしまいます。
多くの詩がこんな雰囲気を醸し出しているのですが、エッセイとなるとちょっとまた違う顔が垣間見れます。
それは次回にまた。
夢二の詩とエッセイがたっぷり!
千代田区×東京ステーションギャラリー「夢二繚乱」 |
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