朝の1時間

『暮らしの手帖』の編集長、松浦弥太郎さんが好きで著書を読んだりもするのですが、松浦さんの「考え方のコツ」という本からのアイデアを紹介します。

「なぜ、なに、なんだろう」と考える。
ゆたかに働き、
ていねいに生きるための極意。

『暮らしの手帖』の編集長が説く「仕事」と生活の指南書。

と、帯に書かれているように「考え方のコツ」を、松浦さんが実践している方法で具体的に教えてくれる本です。

第一章
思考術
なんでも知っている人ではなく、なんでも考える人になる

第二章
想像術
面ではなく、たくさんの点をイメージする

第三章
コミュニケーション術
群れの中で群れにのみ込まれない泳ぎ方とは

第四章
時間管理術
時間に好かれ、時間を味方につける

第五章
グローバル術
メンバーではなくプレイヤーとして働く力

こんな構成になっていて、どれも実践的な内容なのでためになるのですが、中でも私が「おっ」と思ったのは、第一章の中に書かれている内容でした。

一日二回の思考の時間を作って、「書くこと」で視覚化するというもの。午前中に一時間、できれば午後に一時間「思考の時間」を設けて、白い大きな紙に向き合い、今日の思考のテーマについて思うままに、考えのカケラを書いていく、という行為です。これを毎日続けます。そして、一時間経過したらそこで終了。いい感じに乗ってきたから続けよう、ではなく、一時間経ったら手を止めて思考の時間を終わりにさせることが大事なんだそう。

書き留めた内容は、もし今後何か必要になりそうだったら取っておいてもいいけれど、基本的には捨ててしまう。なぜなら、書くことが目的ではなく「考える」ことが目的だから、と。

最初はなかなかテーマが決まらずに、時間だけが過ぎていくけれど、続けていくとポツポツと言葉が浮かんできてそれを書き留めていくうちに、それらがつながって線のように見えてくるときもあるんだとか。そして、いくつかがまとまってアイデアの入り口になるとのことです。

…さらっと概要を書きましたが、これはなかなかの体験ですよ。1時間って結構長いし、しかも毎日。この行為を「考える」ってことだとすると、私は今までほぼ考えてこなかったな、と思ってしまいます。そして、想像するに身体のエクササイズと同じくらいのエネルギーを必要とすると思います。あの、脳みそが締まる感じといいましょうか(私が超集中モードの時は、脳みそがギューって締まっている感覚があって、脳がフル稼働している!という感じがあるのですよ)

松浦さんの方法もそうですが、最近よく目にしたり耳にしたりするのは、書いて視覚化することの大事さ。言葉をポツポツ書いていくだけで頭の中が整理されるし、新しいアイデアや発見にもつながる、というのは分かります(私もようやく最近やり始めたのですが)。デザインアイデアを考えるときには簡単なスケッチはするのですが、自分の考えを言葉で書き留めるとなるとまた別物なので、新しい体験です。そして、自分の手で書くという行為も大事なんだと思います。身体行為として、思考が身体に記憶されると言いましょうか。松浦さんのように毎日はちょっと難しいのですが、「考える」ことは続けていきたいな、と思いました。

最後に、松浦さんの仕事に対する姿勢を。

いい仕事をしたい、社会に貢献したいという、
こだわり、わがままを一人ひとりが
もっと持つべきだと思います。
そのために何を学ぶべきなのかー。
そのひとつが「考え方のコツ」であると
僕は思っています。
(『考え方のコツ』「はじめに」より)

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youseeaandiseeb
Written by youseeaandiseeb
東京在住のグラフィック&デジタルデザイナー。 ものづくり、文化芸術、旅、そしてたまに宇宙についてのブログです。 私の視点を通して、この豊かな世界を紹介していきたいと思います。英語でも書いてます。