今日のブログタイトルは、すぐに分かる人は同じ年代なんだと思いますが、言わずと知れた日本を代表する詩人、翻訳家、絵本作家、脚本家である谷川俊太郎さんの、これまた有名な詩のタイトルです。
「朝のリレー」
カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウィンクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴っている
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ
私は小学校での国語の教科書で初めて知り、その優しい文体と異国の情景が思い浮かぶような表現がとても印象的で心に残っていました。地球儀をみながら妄想にふけってニヤニヤしていた子供時代を思い出します。それから、コーヒーのCMで使われたこともあるので、知っている人も多いと思います。
地球の自転と太陽との関係による「朝」と言う時間を共通にして、子供たちのそれぞれの朝の風景を何とも素敵な言葉で表現し、地球はひとつということを身近に感じさせてくれる。。いつ目にしても素敵だなぁ、と思うのですが、なぜ今日この詩を紹介したかと言いますと、このブログ実は英語でも書いているのです。
私が英語版も書いている理由には3つあります。
1つめは、より多くの人に紹介したいからです。英語&インターネットの組み合わせで、日本語だけのブログよりも、何倍もの人とすぐにつながることができるツールを使わない手はないと思うから。
私は2007年から2009年までの約2年間、ニューヨークに留学していたのですが、その時の経験が私を大きく変えてくれました。それまでは英語は、アメリカという国の母国語と思っていたのですが、ニューヨークはビッグ・アップル。そう、人種のるつぼの都市です。街を歩けば色々な国の言葉が聞こえてきて、生粋のニューヨーカーに出会う方が難しいくらい、本当に色々な国の人たちに出会うことができます。
そんな国際都市で共通言語として使われている言葉が英語。色々な国の人たちとコミュニケーションを取るためのツールとしての英語の役割をニューヨークで学びました。なので、ちょっとくらい文法が間違っていても、発音がおかしくても言いたいことが伝わればOK。単語を並べれば最低限、言いたいことは伝わるもの。それどころか、私のったない英語を理解しようと辛抱強く聞こうとしてくれる人もたくさんいました(涙)。もちろん綺麗な英語ができるに越したことはないけれど、それよりも「あなたはどう思う?」と聞かれて「私はこう思うよ!」って自分の考えを伝えることの方が大事なんだなぁ、とこれまた学んだのです。
2つめの理由は、日本の文化を多くの人に紹介したいからです。日本に帰って来てからも縁あって、外国の方とお話ししたり、お仕事する機会もあるのですが、やっぱり英語というツールはとても便利で、知らない世界を教えてくれるツールでもあるのと同時に、日本についてももっと勉強したいな、という思いが湧いてきたことがきっかけです。
日本人としてよりも、文化芸術好きとしてなるべくニュートラルに捉えようと思ったとしても、日本の文化ってとても面白いです。歴史もあるし分野も広くて勉強したいことがたくさんありすぎる!美的にも、またその背景にあるストーリーも素晴らしいと感動してしまうのです。その素晴らしさを、日本の人にはもちろん、外国の人にも届けたい思いがあります。
そして3つめの理由は、デザインに、ものづくりに国境はない、と強く思うからです。ニューヨークでは、英語とデザインの勉強をしていたのですが、まだまだ自分の言いたいことすら言えない私の英語力でも、デザインだったらコミュニケーションができる!と経験したからです。
デザインの学校では課題が出て、次の授業までにデザインをして発表する、という流れなのですが、課題はテキストで出るので、家に帰って意味を調べて、黙々とデザインする。そして、次の授業でデザインしたものを見せながら皆んなの前で発表。
先生もクラスメイトも、そこはさすがに国際都市というだけあって、私の英語の下手さはあまり気にせず、作ったものでコミュニケーションできたのです。デザインという共通の興味関心がある人たちなので、うまく説明できなくても「あぁ、こういうことね、なるほどね」みたいな感じで、より理解してくれる人たちに囲まれていたというのもありますが、これがデザインではなくて例えば言葉だけで説明するような授業だったら私は挫折していたかもしれません。
もちろん、きちんと自分のデザインについて説明できて、たまに議論なんかもしちゃって、というのが理想ですが、何とか授業について行けたのも、(視覚的な)デザインをやっていてよかったー!と、その時は心から思いました。
そして、デザインやものづくりマインドは世界共通なんだなぁ、ということも実感しました。デザイナー同士の興味関心は似ていて、マインドセットや行動様式も似ています。国旗があるのなら、職業の旗があってもいいくらい、国ではなくて、生業によって分かりやすいシンボルがそれぞれあったら面白いな、と思ったりもします。
ーーーそんな思いがあって英語版も書いており、私の世界への参加の仕方です。
そして最後に、私の「朝のリレー」体験をひとつご紹介。
ニューヨークから帰って来たくらいの時期がちょうど、facebookが流行り始めた時だったのですが、ニューヨークで知り合った人たちとfacebookで繋がっていると、リアルタイムでの色々な国の人たちからの投稿は楽しいのですが、私が面白いなー、と思った時はお正月。
まずは日本、オーストラリアの人たちが「ハッピーニューイヤー!」という投稿をして、アジア、ヨーロッパ、アメリカと「ハッピーニューイヤー!投稿」をする人たちが住む場所の経度が変わっていくのです。最後はアメリカの西海岸の人たち(私のfacebookで繋がっている人では)。その頃には日本はすっかり元旦ムードなのですが、その時空の不思議もまた興味深くて、妄想ニヤニヤ好きとしては、私たちは正月をリレーしているんだわ、なんてまた思いにふけってみたりして。
※今日の写真は、数年前の元旦の日の出 in 鎌倉です。見事な日の出を見ることができたのですが、こういう時って日本人は自然に「バンザーイ!」って言うんですね。老いも若きも日の出に向かって「バンザーイ!」ってやっていました。笑
ページ右上の”HELLO”という画像と(スマホの場合はページ上から3つめの画像)、ページ右列”About ME”の上「English」から英語版がみれます(読んでいる記事と同じ記事にリンク)。※英語版はタイムラグがあっての公開となります。。
今日はリンクも貼っちゃいます。
http://youseeaandiseeb.com/en/
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