生け花体験記

ここ数年は日本文化をきちんと学びたいという思いが強くなり、神社仏閣に足を運んだり、本を読んだり、着付けを習ったりしているのですが、次に学んでみたいことは華道、生け花です。

文化的な色が濃い場所に行くと必ず目にする生け花ですが、敷居が高そうなので今は見ているだけかな?と思っていたところ、MOA美術館で体験ができることを知りチャレンジしてきました。

体験できる建物もとても素敵で、「尾形光琳が自ら描いた図面と大工の仕様帖、茶室起し図が含まれる小西家文書と呼ばれる資料(重文)に基づき、数寄屋建築研究の権威、堀口捨巳博士の監修により復元した屋敷です。」とのことです。
復元されたお屋敷についてはこちら

尾形光琳のセンスあふれるお部屋での生け花体験ということもあり、気分がとてもあがります。こういう空間にいると、自然と背筋が真っ直ぐになり礼儀正しくしよう、レディらしく振る舞おうと思うものですね 笑。

それでは一連の流れをご紹介。

1. お花を選ぶ
数種類準備してくださっている中から、自分が好きなお花を選びます。私が選んだのは一輪咲きの凛としたピンク色の椿です。なぜそれを選んだかと言われると、ずばり直感です。なんだかとても気になったので選んだのですが、選んだ後に先生に「それは、光源氏という名前の椿ですよ」と教えてもらいました。凛としていて素敵だなと思い選んだのが、浮世離れのプレイボーイ。

2. お花を観察する
お花の情報も教えて頂き、次はお花を観察すること。よーく観察すること。花びらの色、花びらのつき方、枚数、花弁について、それから葉っぱや茎について、どんな風にこの花ができているのかよーく観察し、お花への理解を深めます。

縁あって出会った小さな命に向き合っていると、愛着が湧いてきます。そう、私の光源氏への愛着が。

3. 花器を選ぶ
光源氏をお水に戻し、次は器を選びます。私が選んだのは丸みがあるもので、両手で包めるような大きさですが重厚感があるもの。色は落ち着いていて黒に近い感じです。光源氏がピンクで華やかなので、落ち着いた色がいいのかな?と思いました。

4. 器を観察する
お花と同じように、器を観察します。よーく観察します。縁あって出会ったこの器と対話を始めます。すると、作家の手仕事の後が見られ、機械では表現することのできないアンバランスさと有機的な線の美しさ、色の輝き、更にはこの器を形成している土についても思いを馳せ。。

5. 活ける
お花と器と十分に対話をしてから、いよいよ活ける工程に入ります。光源氏を器に入れた時にベストの表情を引き出すのが私の仕事。長さ、葉の数、角度などなど、色々な可能性を探ります。それからここで重要なのは、どこに飾るか、を考えて活けること。

そうだ!ミケランジェロのダビデ像も人々が下から見上げる時に一番美しく見えるように、ちゃんと考えられて作られているんだった。(←ミニ知識)という学びを思い出し、床ではなく壁にかけたかったので、その位置を確認してから、見る人の目線を想像してふたたび可能性を探る作業へ。

実際に活けてみて、長さを調整したり、葉の数のバランスをみたり、何度も繰り返します。ここがいいかな?と思っても、私の光源氏は頭が重くてバランスを取るのが難しいです。なかなか思うように落ち着いてくれない光源氏、さすがに手強い。座りが良くなるよう枝で細工をしたりして、先生に助けて頂いてようやく位置が決定。

少し離れたところから眺めて全体のバランスを確認します。光源氏一輪だけでもよかったのですが、(やっぱり)どこか寂しげだったのでお花を加えることにしました。小さな黄色いお花がいくつか咲いている優しい印象のお花です。そう、光源氏に寄り添う女性たちをイメージしました。

黄色いお花を加えて、また何度もバランスを調整してからようやく完成。

6. 飾る
光琳屋敷の床の間に飾らせて頂くことができるので、私は壁に吊るしてもらいました。テーブルの上で活けていた時とはまた打って変わった表情をみせてくれます。裏舞台から表舞台に立ったかのような、「本番」の光源氏は、豪華さと美しさを備え凛々しく立っていますが、どこか寂しげで線の細さも垣間見れます。彼の側には女性たちがいるのですが、支えているようでありながら、手招きしているような。女性を誘惑しているような、追いかけているような、片や彼女たちにもたれかかっているような。ひとつの器の中で繰り広げられる男女の恋模様。

(「美の巨人たち」の小林薫風で)
平安時代に描かれた古典文学を題材にした今日の一枚。田中ひな作「源氏物語」

生け花

こんな感じでとーっても楽しかったです!
着付けの次はお花かしら。

壁の色が違うとまた印象が全然違いますね。こちらは光琳先生デザインの、波のような模様が素敵な柔らかい色味の壁紙で、その模様が光源氏の揺れ動く心を見事に表現しており、壁紙とお花がまるで一枚の画のように見事にマッチしています。なんて 笑。
※花器の斜め具合は先生の粋の表現です

生け花

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youseeaandiseeb
Written by youseeaandiseeb
東京在住のグラフィック&デジタルデザイナー。 ものづくり、文化芸術、旅、そしてたまに宇宙についてのブログです。 私の視点を通して、この豊かな世界を紹介していきたいと思います。英語でも書いてます。