前回のブログ「笹の葉さらさら」に続く七夕シリーズ。2回目の今回は「五色の短冊」です。
中国古来の行事「乞巧奠(きこうでん)」では五色の糸を飾っていたのですが、日本に伝わってからは、和歌を飾るために短冊に変わりました。そして、短冊に願いごとや「天の川」など七夕にちなんだことばや絵を書いて、笹の葉につるすように転じたのは一般庶民に広まった江戸時代から。ちなみに、七夕は中国、韓国、台湾などでも風習として残っていますが、願い事を短冊に書いて笹の葉につるすことは日本だけ。歌や書き物をするのが好きな文化なんだな、と改めて思いました。
それから五色にも意味があって、中国の陰陽五行説に基づいた色が由来です。陰陽五行説とは、すべてのものは「陰・陽」の相反する2つの側面を持ち、この世の全ての根源である「木・火・土・金・水」の5つの要素を有すとする説です。この5つの要素に当てはめた色が「青・赤・黄・白・黒」で、それぞれにきちんと意味があるんです。
・青(緑) = 木 = 樹木の成長する様子を象徴
・赤 = 火 = 光り輝く炎の様子を象徴
・黄 = 土 = 植物の発芽を象徴
・白 = 金 = 鉱物・金属を象徴
・黒(紫) = 水 = 和泉から湧き出る水を象徴
この五色は短冊だけでなく、笹の葉につるされる七夕飾りにも使用されたのですが、この七夕飾りにもそれぞれ意味があります。
・折鶴(千羽鶴):長寿を表す鶴を折り紙で折り、長生きできるように願います
・吹き流し:織姫に供えた織り糸を表しており、五色を用いて魔除けの意味もあります。紙風船やくす玉に五色のテープを貼り付けたものです。織姫にちなみ、裁縫が上達するように願います
・網飾り:網飾りは魚を捕る漁網(ぎょもう)を表し、大漁を願います
・財布(巾着):折り紙を財布や巾着の形に折って飾ります。また、本物の財布を下げることもあります。金運の上昇を願います
・神衣・紙衣(かみこ):紙で作った人形、もしくは着物を飾ったものです。裁縫が上達し、着るものに困らなくなるといわれています。災いを人形に移すという意味もあります
・くずかご:七夕飾りを作るときに出た紙くずを、折り紙で折ったかごに入れてつるします。整理整頓や倹約の心を育む意味があります
そして、短冊も含めたこれらの七夕飾りは、7月7日の夜に海や川に流して清められるのが習わしでした。
…知らなかったことが多くてちょっと恥ずかしいのですが、こうして調べていくと全てにストーリーと意味があって、とても勉強になります。それから意味もそうですが、色とりどりの七夕飾りが笹の葉に飾られて、さらさら音を立てながら風に揺られている風景は、理屈抜きでとても風情があって素敵ですよね。
さて、七夕シリーズ最後の3回目は「竹」になります。
江戸時代の七夕はこんな感じだったのかな。天高く笹が飾られていてキレイ。
『市中繁栄七夕祭』(名所江戸百景の一つ。歌川広重):江戸後期(ウィキペディアより)
Leave a Comment