7月7日から続いている七夕シリーズの最後、今回は「竹」についてです。
笹の葉さらさら
五色の短冊

七夕の行事では願いことを短冊にしたためて、折り鶴や吹き流しなどの七夕飾りと一緒に竹笹に飾ります。笹の葉さらさらの童謡にもあるように、さらさらと音を立てて風になびいているその様は、とても趣があっていいですよね。さて、なぜ竹笹なのか、についてのお話です。

日本の文化に古くから関わりの深い竹。8世紀頃に中国から持ち込まれ、最初は貴族間での儀礼などに用いられ、一般に広く見られるようになったのは16世紀以降と考えられているそう。

日本画や水墨画のモチーフとしても多く登場し、俳句や短歌でも多く歌われてきました。それから庭園づくりにおいては重要な構成要素として用いられています。竹林に足を踏み入れると神聖な空気に覆われるような気持ちがしますよね。先日訪れた、白洲次郎・正子夫妻のお家「武相荘」にも素敵な竹林がありましたよ。

それから、竹細工、建材、家具、釣竿などとしても多く利用されてきました。ブルーノ・タウトが設計した「熱海の家」でもセンスよく多くの竹が使われていて、タウトを魅了した素材ということが伺われます。

また、冬の寒さにも負けず、常緑で倒れにくく、真っ直ぐに伸びる竹は、生命力を象徴するおめでたい植物のひとつとされ、お正月に飾る門松にも使われています。ぐんぐん成長しますが、竹稈の中はなぜか空洞。その神秘性から、古代の人々は空洞をもつ不思議な形の竹に、一種の自然宗教的な信仰心を抱きました。その空洞に神様が宿っているんじゃないかなという思いが、日本最古の物語「竹取物語」を生みました。成立年、作者不明で、内容もとても不思議な物語ということも神秘性を助長させているように思います。

そして、昔から神聖視されてきた竹に願いをのせる七夕という行事ですが、歴史や意味合いを包括的に知ると、それまで何気なく参加していたものがより身近に感じられるようになりますし、その神秘性も手伝ってより空想的で情緒的な素敵な行事だな、と思うようになりました。

竹について詳しく説明されています。
「竹のおはなし」農林水産省のウェブサイト

7月7日から続いている七夕シリーズ
笹の葉さらさら
五色の短冊

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Written by youseeaandiseeb
東京在住のグラフィック&デジタルデザイナー。 ものづくり、文化芸術、旅、そしてたまに宇宙についてのブログです。 私の視点を通して、この豊かな世界を紹介していきたいと思います。英語でも書いてます。