このブログを始めてから、言語や言葉に興味が向くようになりました。
特に、歌として受け継がれてきた言葉には、情景や思いが結晶化されているので、読み解くことがとても面白く感じます。
それから、古語や方言など、自分に馴染みのない言葉の解釈も謎解きのようで楽しいし、毎回新鮮な学びがあります。
というのも、私の性質や職業上、視覚に頼ることが多いので、それ以外の表現に新鮮味を感じ、また自分の思いや考えを上手に表現しているものに会うと無条件に、ただただ尊敬してしまいます。
さて、今日は夏の1曲を。
(この間は「海の曲」シリーズを紹介したのですが、そこから派生しました)
沖縄の代表曲「芭蕉布」です。
芭蕉布
【作詞】吉川安一 【作曲】普久原恒勇
- 海の青さに 空の青
南の風に 緑葉の
芭蕉は情けに 手を招く
常夏の国 我した島沖縄(うちなー) - 首里の古城の 石だたみ
昔を偲ぶ かたほとり
実れる芭蕉 熟れていた
緑葉の下 我した島沖縄(うちなー) - 今は昔の 首里天加那志(すぃてぃんじゃなし)
唐ヲゥーつむぎ はたを織り
上納ささげた 芭蕉布
浅地(あさじ)紺地(くんぢ)の 我した島沖縄(うちなー)
タイトルの「芭蕉布」は芭蕉の葉の繊維から織られた天然素材の布で、現在は沖縄本島北部の大宜味村喜如嘉と今帰仁村が主産地となっています。12-13世紀にはすでに作られており、首里天加那志(3番の歌詞にあります)=琉球王朝への貢納布に使われてました。そして、昭和49年に国指定の重要無形文化財の総合指定を受けました。
高級織物の芭蕉布ですが、民藝運動を起こした思想家の柳宗悦の著書「芭蕉布物語」には、「今時こんな美しい布はめったにないのです。いつ見てもこの布ばかりは本物です」。と書き記されているそうです。審美眼が高くて着物を愛した白洲正子さんも好んで着ていたようです。
軽くてさらりとした布地は南国の風土に合っていて、とても着心地がよさそう。私もいつか着てみたいなと思います。
こちらは、芭蕉布の作り方についての動画。
芭蕉布についてのウェブサイト2つ。
たびらい
さて、この歌の歌詞は、まっすぐに優しい調子で、素敵な素敵な沖縄のことを歌っています。
歌詞に加えてやはりその曲調がまた心に染み入ります。
「芭蕉布」娘3人の聴き比べをどうぞ。
柳宗悦「芭蕉布物語」
※メイン画像は「ひつじや呉服店」の芭蕉布でつくられた、蝉柄の名古屋帯です
Leave a Comment