“何もしない”をする

「みつばちさん」
「みつばちは数学者」

と、みつばちについて書いてきましたが、みつばちと言えばハチミツ。ハチミツと言えばプーさん。ということで、今日はくまのプーさんから学ぶ哲学についてです。

ちょうど映画『プーと大人になった僕』が公開されているので観に行ってきました。

大きくなったクリストファー・ロビンは、大都会ロンドンで大忙しの毎日を送っています。そんな時に偶然プーと再会します。再会をとっても喜び、昔みたいに楽しく遊びたいプーなのですが、寄宿学校での生活や第二次世界大戦での出兵などを経て大人になったクリストファー・ロビンはかつての頃とは大きく変わってしまい、仕事中心の日々でなんだか大変そう。

森に帰れなくなってしまったプーを送るため、クリストファー・ロビンは子供の頃に出て行ったきりの100エーカーの森に帰ってきます。最初は役目を終わらせて早く仕事に戻りたいと思っていたクリストファー・ロビンですが、懐かしの森にいて昔の仲間たちに再会していくうちに、あの頃を思い出し、一番大切なものに気づくのでした…。

あらすじはこんな感じですが、どこかやんちゃで少年の雰囲気が残るユアン・マクレガーは、大人になったクリストファー・ロビンにピッタリだと思いました。それからプーをはじめとした100エーカーの森の仲間がみんな可愛らしい!しぐさも動作もとても愛らしくて、ギューーーッてしたくなるような感覚を覚えました。特にピグレット。マフラーを巻いたちっちゃな子豚さんが一番のお気に入りです。あー、でもイーヨーのどこまでもネガティブな感じもよかったなー。

それから映像もキレイで、1940-50年代の時代の再現やその頃のイギリスの色(衣服や建物、インテリアや雑貨など)と森の緑とのバランスがとても美しいな、と思いました。

さて、ここからが本題です。映画にはたくさんのプーの哲学がちりばめられていて、はっとさせられるものが多いのですが代表的なものをいくつかご紹介します。

・急ぐ必要はないよ。いつかちゃんとつくんだから。川だって知ってる。
・君と過ごす日は、どんな日でも僕の大好きな日だよ。だから今日は僕のあたらしいお気に入り。
・行ったことのない場所へ進まなきゃいけない。いたことのある場所に戻るんじゃなくて。

他にもたくさんありますが、何よりも響いたのが「“何もしない”をする」です。

一瞬一瞬に一生懸命なプーは、「“何もしない”は最高の何かにつながる」と言い、その瞬間を大切にします。そう「今ここ」。禅僧のようですね。汽車からの景色で見えたものを言葉にするするゲームもまさにそれ。今ここ、この時を生きる。

たくさんの学びがある素敵な映画ですが、原作は1926年に発表されたA・A・ミルンの児童小説『クマのプーさん』。プーさんもそうですが、スヌーピーが主人公の『ピーナッツ』も、ムーミンが主人公の『ムーミン・シリーズ』も、『天才バカボン』、『ドラえもん』、『ちびまる子ちゃん』などなど、児童向けの小説や漫画には奥深い哲学がたくさんちりばめられているな、と改めて思いました。

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私にとって「”何もしない”をする」は大きな気づきで、人生の全てを言い当てているような気さえします。色々あるけれど、なるべく「今ここ」を意識しながら日々生活していこうと思いました。
皆さんはどう思いますか?

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映画『プーと大人になった僕』公式ウェブサイト

映画『プーと大人になった僕』予告編

児童向けの作品から学ぶ大切なことの本シリーズ

※今日のメイン画像は原作『クマのプーさん』の挿絵から(E・H・シェパードのイラストも素晴らしいです!) Sotherby’sより

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youseeaandiseeb
Written by youseeaandiseeb
東京在住のグラフィック&デジタルデザイナー。 ものづくり、文化芸術、旅、そしてたまに宇宙についてのブログです。 私の視点を通して、この豊かな世界を紹介していきたいと思います。英語でも書いてます。