前回のブログでは、長編ドキュメンタリー 「うみやまあひだ 〜伊勢神宮の森から響くメッセージ〜」の紹介でした。その中で、伊勢の森にはアフリカの熱帯雨林と同じくらいの超高周波のエリアがあって、それは「聴く」というより「感じる」体験に近いんだ、と脳科学者の大橋力さんが教えてくれたことにも触れました。
自分には聴こえていないけれどそこには音がある、そんなことを考えていた時に思い出したことについてです。
伊勢の超高周波ではないですが、以前友人と道を歩いていた時のこと。友人が「あそこ、ネズミ駆除器があるよ」と突然言いました。え?と思ってよくよく聞いてみると、ネズミを駆除するために超音波を出している機械があって、その音が聞こえるんだとか。私には全く聴こえないけれども、彼女にはよく聴こえるそうで、設置してある所は多いんだそう。
耳はいい方だと自分では思っていたのですが、また違う音域なんでしょうか。いくら耳を澄ませてもその超音波は私には聴こえませんでした。
それから自分では当たり前に聴こえている音が、他の人には同じように聴こえないことも。それは鈴虫の声。
夏の終わりから秋にかけて鈴虫が鳴き始めると、夏の終わりと秋の始まりの季節の移ろいに情緒を感じたりして、りーんりーんと鳴く鈴虫の声に耳を傾け聞き入る…そんな体験は多くの方がされていると思いますが、これはどうやら日本人特有のものなんだそう。
この鈴虫の鳴き声は日本人にとっては、とても心地がよいものとして耳に入ってきますが、例えば西洋人にとっては煩わしく雑音として聴こえる人もいるんだとか。文化や習慣の違いかと思いきや、脳の受け止め方の違いらしいです。日本人は鈴虫の発する音を言語脳で受け止め(人間の話す声の理解など、論理的知的な処理をする)、西洋人は音楽脳で受け止める(音楽や機械音、雑音を処理する)。なので、日本人は鈴虫の発する音を「虫の声」として聴いているんだそう。
虫さんたちがおしゃべりしているね、なんて会話はどうやら日本特有のものなのかな。童謡に「虫のこえ」なんていうのもあって、可愛らしい歌詞がついていますが、そうは聴こえない人もいるらしい、ことを知るとなかなか興味深いです。
虫のこえ
あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえきりきりきりきり こおろぎや(きりぎりす)
がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ
聴覚の分野でも人によって捉え方が違うこと、それから自分には知らない世界があることに気づきました。私には体験できないけれど、どうやらそういう世界があるらしい、そんなことを想像するとまた視野が広がって楽しくもあります。
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聴こえる世界、聴こえない世界、みなさんはどう思いますか?
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