その昔、お伊勢参りをする旅人は、
筒状に丸めて背負ったゴザの先に、
一文無しの杓「ひしゃく」さえ差しておけば、
白米のおにぎりやお風呂、水、わらじなど
提供してくれる伊勢の人々の「施行」に
支えられていました。そのことから「お伊勢参り」を「おかげ参り」と
呼ぶようになったと言われています。
パワースポット巡りに始まり、神社仏閣を巡る人が増え、また素敵な御朱印帳もたくさん見かけるここ数年ですが、中でも「お伊勢参り」は特に参拝者が多いと思います。私も大好きな場所です。
※画像はブルーノ・タウト「熱海の家」(旧日向別邸)からの景色
今日はブルーノ・タウト「熱海の家」 1 / ブルーノ・タウト「熱海の家」 2 の番外編。
前回のブログで、タウトの熱海の家(旧日向邸)を見学するときに、ボランティアのガイドさんがとても丁寧に教えてくださることも紹介したのですが、今日はそのガイドさんが教えてくれた素晴らしい学びを紹介します。
桂離宮、伊勢神宮、白川郷などに美を見出し、数寄屋造にインスパイアされ、著書を発表して世界にその素晴らしさを発信したタウトですが、日本建築のどういうところがそんなにも魅力なのか、というお話です。
ひとつめは、その<地味さ>。
桂離宮は別荘、伊勢神宮は宗教施設にも関わらず、質素でシンプル。余計なものはなく、自然素材を活かしその色合いも控えめです。片や、西洋の別荘や宗教施設は豪華絢爛で派手なもので日本のそれとは正反対。建物は日本は地味、西洋は派手なのですが、衣服はどうでしょうか?かつての日本の衣服と言えば着物です。そう、とても華やかです。上流階級の人ほど色彩はより鮮やかに、何層にも重ねて着飾り、髪型も大きく派手になります。そして西洋の衣服と言えばドレスですが、中世貴族などは以外と地味です。色合いは落ち着いていてシックなものが多いです。
日本は地味な空間に、華やかな衣服が映える文化。そして、西洋は華やかな空間だからこそ、落ち着いた衣服がマッチする文化。なるほど、両方とも上手にバランスが取れている。