突然ですが、みなさんは小さい頃、大人になったら何になりたかったですか?そして、その願いは果たされたでしょうか?
私は美容師さんになりたかったです。小学校の高学年にもなってくると、床屋さんではなくて美容室に連れていってもらえるようになり、髪を切ってもらっていました。そこの美容師さんがとても美人で優しくて、いつもキレイにしてくれるから、美容室は楽しみのひとつで特別な空間でした。その時から美容師さんは私の憧れとなったのです。
「あんな素敵な美容師さんになりたいな」と思ってはいましたが、子供の頃は肌がとても弱かったので、美容師になる夢は早いうちに諦めました(小児アトピーは本当に辛かった…)。だからこそ永遠の憧れとして、今も羨望の眼差しを注ぐ対象として君臨しています。
今でも美容室に行くと、その手元を追ってずっと見てしまいます。技術的なことや流行、使っているものなど矢継ぎ早に質問ばかりしてしまいます。だって美容師さんって魔法使いのようで興味津々なんですもの。
それから、髪は神とも形容されるように、古来から神につながる媒介としての意味があったり、太陽に一番近いのでエネルギーが宿る場所と考えられていたとも。確かにシャーマンや巫女さんなど神につながる人たちは髪の毛をとても大切にしているし、長く伸ばしていますよね。また、ヒンドゥー教では頭や髪の毛には神が宿るとされているので、気安く子供の頭をなでたりしてはいけないことは大切なマナーとなっています。
仏教ではお坊さんが剃髪をしますが、「余計なこだわりを持たない」ためだそうで、「苦」からの解放を目標とする仏教では、「こだわり」を持つことは「苦」につながる、という理由だそう。宗派によっては必ず剃髪しなさいと決まっている訳ではないですが、こういった理由から、そして楽チンというのもあるかもしれませんね。
宗教的な意味合いも深く持つ髪の毛ですが、特殊な職業ではない人、特に女性にとってはやはり特別なものだと思います。おしゃれもそう、恋愛にまつわるエピソードもそう、それから月の満ち欠けに敏感な人は毎月、満月の日に美容室に行くそうです。
私は美容師さんに憧れがあるのもそうですが、やはり美容室は特別な空間だと思います。仕事関係でもなく、友人でもなく、趣味の仲間でもないけれど、「今回はどうしますか?」と聞かれるような、私を知ってくれている何だか不思議な場所。そして、美容室からの帰り道は気分が明るく軽くなるので、ただ髪を切ったり、整えたりするだけでない、気持ちを豊かにしてくれる場所なんだとも思います。
実際、自然災害のあった被災地や老人ホームでのボランティアカットの役割は大きいと聞きます。過酷な状況、外出がままならない状況でのシャンプー&カット&そして口紅の効果は絶大で、気持ちを前向きに明るくしてくれるまるで魔法のようだな、とも思います。以前、ボランティアカットの番組を見たのですが、皆さんとても素敵な笑顔になっていたことが印象に残っています。
それから、海外ではホームレスの人たちのボランティアカットをしている美容師さんもいます。ロンドンに住んでいる、Joshua Coombesさん。”#DoSomethingForNothing”(無償で何かする)の考えのもと、ヨーロッパを中心に活動しています。その様子はインスタグラムで紹介されていて、BeforeとAfterの写真を見ることができるのですが、カットしてもらった人の表情の違いが一目瞭然。男性が多いのですが、カットしてもらった後はまるで別人のようで、皆さん自信がみなぎっていてカッコよくなっています。女性だけでなく、男性にとっても髪を整えることは大切なことなんだな、と思わせてくれます。
Joshuaさんのインスタグラムはこちら@joshuacoombes
Do Something for Nothingという活動も@dosomethingfornothing
色々な方面で活躍している美容師さんたちですが、ハサミひとつで世界中の人を幸せにしてしまうなんて、なんて素敵な職業なんでしょう。私の憧れはいつまでも終わることはありません。
※今日のメイン画像は映画「髪結いの亭主」より
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